「有限会社高井化成」は、刃物に使われるプラスチックのパーツを製造する企業。
関市の刃物関連企業には、プレスや熱処理、研磨、組み立てなど、「刃」の加工に特化した工場が多数ありますが、良い刃物作りには、ハンドルなどに用いられるプラスチックの部品も重要です。
高井化成さんでは、1983年の創業以来、ハサミやカッター、彫刻刀など、関の刃物作りをプラスチック成形を通して支えています。
刃物づくりに欠かせない、プラスチック成形
高井化成さんが手がけるのは、ハサミのハンドルや、カッターや彫刻刀の刃を覆うプラスチックのパーツ。キッチンハサミや彫刻刀の柄、美容ハサミを中心に多品種の製造を行っています。
関の刃物は昔から分業制が基本。高井化成さんの工場には、日々、おもに関市にある20社ほどの刃物メーカーで作られた剥き出しの刃が持ち込まれ、持ち手などのプラスチックパーツが取り付けられます。
皆さんはプラスチックは何からできているか知っていますか?
プラスチックの材料となるのは、上の写真のようなつぶつぶの樹脂のペレット。
顔料と混ぜられた樹脂のペレットは、射出成形機に投入され、高温で溶かされた後、金型に流し固められることで成形されます。
成形してできあがるのは、プラモデルのパーツのようにくっついた、完成間近の製品。プラスチック用ニッパーで一つひとつカットされて、刃物メーカーなどの元へと納品されていくのです。
プラスチック成形の要は、金型づくり
高井化成の職人さんは、金型一つひとつに刃物をセットし、プラスチック成形を行います。
「機械の操作自体は、スイッチを押すだけだから難しくはないんです」と代表取締役の高井寿一さん。実は、要となるのはそこに至るまでの準備で、特に樹脂が流し込まれる「金型」の良し悪しが肝なのだそう。
高井化成さんでは金型にこだわり、金型メーカーに製造を依頼する際は、何度も試行錯誤しながら質の高い金型を作るようにしています。お客さんから金型自体を預かる際も、できあがりを厳しい目でチェック。改良が必要な場合は、金型メーカーにお願いして再度加工してもらうこともあるそう。
工場の奥にある物置き場には、これまで高井化成さんが使用してきた数十種類の金型がずらり!年季の入った金型が並ぶ様子に、高井化成さんの確かな仕事ぶりが感じられますね。
また、高井化成さんでは樹脂や顔料もメーカーと相談し、慎重に選定。刃物メーカーが求める形状や質感、色味などに応えられるよう、長年の知識や経験を生かしてプラスチック成形を行っています。
工場見学の見どころは?
プラスチックの材料である樹脂と顔料を混ぜ合わせるところから、ハサミやカッター、彫刻刀などの製品となる一歩手前までを見学できるのが工場見学の見どころ。
“刃”と比べて注目されづらい刃物のプラスチックパーツですが、その製造過程を知ることで、身近な刃物を見る視点が少し変わりそうです。
コンパクトな社屋に機械が並ぶ、まさに「町工場」といった味わいのある空間にも注目です!
工場見学の内容
予約:要予約
定員:5名
所要時間:15分
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