1873年に刀鍛冶だった初代が創業して以来、150年以上にわたり、国内だけでなく海外に向けても刃物の製造・販売を行ってきた「三星刃物株式会社」。
長年、他社の製品を製造するOEMが主力でしたが、自社ブランド商品の開発に取り組み、2015年に包丁の「和 NAGOMI」シリーズが誕生しました。
5代目社長が夫婦で「一生ものの包丁」づくりに挑戦
実は三星刃物さんにとって初めてのオリジナルブランドとなる「和 NAGOMI」シリーズの包丁が生まれたのは、5代目の渡邉隆久社長と妻の友佳理さんの強い想いからでした。
きっけは、友佳理さんが開いていたパン教室に集う生徒さんから「家庭でも切れ味の優れた良い包丁を使いたい」「手入れが簡単で切れ味が長く続いてほしい」という声を聞いたこと。
そこで、家庭で使いやすく、手入れもしやすい、“100年使い続けられるような包丁”を作ろうと、老舗刃物メーカーとして培ってきた技術を結集し、試行錯誤を経て生まれたのが、「和 NAGOMI」だったのです。
「和 NAGOMI」の包丁の特長は、錆に強く柔らかい鋼を使っているため、粘りがあってしなやかな、切れ味の良い刃身。
しかも、メンテナンスの簡単さも魅力で、月に1、2度、新聞紙で数回研ぐだけで、気持ちの良い切れ味が戻るんです!
現在では、家庭で使いやすい三徳包丁をはじめ、牛刀、ペティナイフ、チーズナイフやパン切りナイフなどラインナップが充実し、錆びにくいモリブデン鋼を使用した「ダマスカスシリーズ」や、プロ用のシリーズも展開しています。
すっと手に馴染む持ち手は、一つひとつ職人が手作業で磨く
さらに、木目の美しさが際立ち、計算された独特のフォルムが手に持ったときにすっと手のひらに馴染む持ち手も「和 NAGOMI」の大きな特徴です。
このハンドルは、1本1本、職人さんの手で磨き上げられています。
研磨する前は、木のハンドルと刃身を繋ぐリベット(ピン)がはっきりと分かれていて、凸凹していますね。
これをまずはロボットを使って荒削りしていきます。このロボットは、一度に包丁を30本セットすると、1本あたり4分で削ることができるのだそう!
以前はこの工程も職人さんの手で行っていたので効率化が進んだそうですが、ロボットの動きをより人の手に近づけるようアップデートしています。
ロボットが研磨したハンドルは、リベットの丸い凸凹が全く見えなくなり、木の部分とも一体化しています!
ところが、実はここからが、職人さんの腕の見せ所。専用の研磨機を使って、1本ずつ、さらに丁寧に磨いていきます。
何度も細かく角度を変えながらハンドルを研磨機に当てて、滑らかな手触りと鏡のような美しい艶が現れるまで磨いていきます。
1日に職人さんが磨けるハンドルは20本ほど。ロボットを有効に活用しながら、最後は手作業で仕上げることで、「和 NAGOMI」のクオリティを保っているんですね。
工場見学の見どころは?
普段は見ることができない工場内を見学して、包丁の組み立てやハンドルの研磨作業だけでなく、包丁の切れ味を決める「刃付け」(刃を研ぐ工程)など、包丁が完成するまでの一連の流れを知ることができます。
若い職人さんも多く、アットホームな雰囲気の社風も感じられますよ。
また、ワークショップで包丁の研ぎ体験もできますので、ぜひ参加してみてくださいね!
※公式インスタグラムもぜひご覧ください!
企業情報
- 社名
- 三星刃物株式会社
- 住所
- 岐阜県関市下有知5178
- TEL
- 0575-22-2345
- WEB
- http://mitsuboshi-cutlery.com
- ご予約
- https://kojosankanbi.jp/factories/2024_043